送金/出金に失敗すると資金を失う
暗号資産は、全てが自己責任の世界です。送金や出金のミスも例外ではありません。
暗号資産の場合、銀行振込とは異なり出金先や出金方法を間違うと、その資金は原則として戻ってきません。誰の手にも渡らずに、この世界から消滅します。
「そうは言っても泣きつけば運営が何とかしてくれるだろう」と考えてはいけません。
ブロックチェーンの仕組み上、助けたくても誰も助けられないのです。
そのため、正しい知識を身に着けて、自分の資産を守ることが大切です。
当記事ではありがちなミスを4つ取り上げた後、どう対処していけばいいかを説明していきます。
ありがちな送金ミス1:間違った送金先アドレスを入力
銀行の口座番号と支店番号に相当する暗号資産のアドレスは非常に長い意味の分からない文字列です。
そのため、入力時にタイプミスしてしまうことがあります。
タイプミスではなく、別の暗号資産のアドレスを入力してしまう可能性もあるかもしれません。
例えば、ビットコイン送金時に間違ってイーサリアムのアドレスを入力してしまう等です。
最近は、アドレスのフォーマットに則ってない場合は、チェック機能によりエラーで事前に知らせてくれることも増えてきましたが、チェック機能が必ずあるとは限りません。
あるいは、アドレスのフォーマットは正しいが、うっかり別の人のアドレスを入力してしまうケースも考えられます。
自分のビットコインアドレスに送金するつもりが、間違って他人のビットコインアドレスに送ってしまうようなケースです。
他にも、取引所等の中央集権型サービスの場合、何らかの理由で入金アドレスがいつのまにか変わっていることがあります。
この場合は、サービス運営元に連絡すれば新しい入金アドレスに移動してくれる可能性は高いですが、絶対に資金移動してくれるという保証はありません。
ありがちな送金ミス2:間違ったネットワークを選択
アドレスだけ合っていれば良いかといえばそうではありません。
送金に用いるネットワークも正しくなければなりません。送る側と受け取る側で同じネットワークを使う必要があります。
取引所の出金時に「手数料が安く表示されていたから」という理由だけで適当にネットワークを選ぶと、見事にゴックスします。
これは初心者あるあるです。
受け取り側がERC20しか受け付けないと書いているのに、ポリゴンのネットワークでイーサリアムを送ってしまうようなケースです。
どの暗号資産をどの輸送路(ネットワーク)で送ろうとしているのかをしっかり意識しなければなりません。
ありがちな送金ミス3:ガス不足(ウォレットの場合)
アドレスもネットワークも正しいのに、送金できないことがあります。
それはガス代と呼ばれるトランザクション手数料が不足しているケースです。
中央集権型の取引所の場合、出金手数料という名のガス代が自動で引かれるので問題は起きないのですが、MetaMask(メタマスク)等のウォレットから送金する場合は、ガス代を考慮しなければなりません。
1ETHがウォレットに入っていると仮定しますが、これを別の場所に送金する場合、1ETH全額を送ることはできません。
なぜなら、送金のためのトランザクション手数料が必要だからです。
この場合、1ETH+ガス代をウォレットに残していないと、1ETHを相手に送ることはできないのです。
銀行の振込手数料と同じです。
違うのはトランザクション手数料はネットワークの混雑度合で変動するということです。
ガス不足の場合は、トランザクションは失敗して暗号資産はウォレットに戻ってきますが、成否に関わらずトランザクション手数料は差し引かれます。つまり、全額は戻ってこないということです。
ありがちな送金ミス4:特定の条件を満たせていない
アドレス、ネットワーク、ガス代いずれも問題ない場合でも、正しく送金できないことがあります。
それは受け取り側で特定の条件を設けている場合です。
たとえば、最低入金額を設けているケースです。
バイナンスではポルカドットの最低入金額は0.99 DOTとなっています。これ未満のDOTを送金した場合、着金せずに消失します。
送金/出金ミスを防ぐための対処方法
送金ミスの事例を4つ紹介しました。
暗号資産の扱いに慣れている人でもたまにやってしまうことがあるトラブルです。
以下に対処方法を記載しますので、油断せずに慎重に慎重を重ねて送金するようにしましょう。
送金/出金前に入力不備がないか必ず確認する
焦らず、そして面倒がらずに、送金前に入力内容に不備がないか確認しましょう。
- アドレスの打ち間違いはありませんか?
- アドレスのフォーマットは正しいですか?
- 入力したアドレスは本当に送りたい相手のものですか?
- ネットワークは適切ですか?
- ガス代は十分ですか?
- 入金アドレスに変更はありませんか?
- 入金に何かしらの条件はありませんか?
アドレス入力はコピー&ペーストが基本
アドレスは非常に長くて、意味不明な文字列です。そのため、1文字ずつのタイピングはお勧めできません。
コピー&ペーストを徹底しましょう。
その際、前後に空白等の不要な文字や改行コードが含まれないようにご注意ください。
殆どの場合、アドレスの隣にコピーボタンが用意されていますので、それを使うとミスを減らせます。
アドレス帳機能を活用する
アドレス帳も便利な機能です。
よく使うアドレスはアドレス帳に登録しておき、送金時はアドレス帳から選択すると入力ミスを無くせます。
ただし、その場合であっても、送金先(入金)のアドレスが変わってしまっている可能性がありますので、必ず送金先(入金)のアドレスに変更がないことを確認しておきましょう。
テスト送金として、最小額を送って疎通確認する
以上を全て実施したとしても、気づいていないミスがまだあるかもしれません。
そのため、トランザクション手数料は余分に発生するものの、少額でテスト送金するクセをつけましょう。
テスト送金が成功すれば、設定が正しいことが立証されます。
安心して残りの分を送金することができるでしょう。