【AVAX】アバランチ(Avalanche)とは?

アバランチ(AVAX)の概要

分散性とスケーラビリティを両立したDeFi開発プラットフォーム

アバランチは、分散型アプリケーション(DApps)を構築できる、分散性とスケーラビリティを両立したプラットフォームで、分散型金融(DeFi)に注力しています。

そのアバランチの概念はTeam Rocketという匿名のグループによって提唱されました。

米コーネル大学教授のEmin Gün Sirer氏らは、その概念を発展させる組織として、ニューヨークのブルックリンでAva Labsを創業しました。

Nori
Team Rocketの名前は、ポケモンの敵役であるロケット団に由来しています。ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトをポケモンの主人公サトシとみなして、そのライバル的存在であろうとしたわけです。

メインネットが稼働したのは2020/9であり、アバランチ同様、イーサリアムキラーと呼ばれているソラナよりも若いプロジェクトです。

飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しており、わずか1年足らずで時価総額10位に到達した、レイヤー1ブロックチェーンの中でも期待の新星の1つです。

なお、イーサリアムキラーと呼ばれていますが、アバランチとしてはイーサリアムをリスペクトしており、イーサリアムに取って代わろうとしているわけではなく、イーサリアムの補完的存在になることを目指しているようです。

Rino
ほんとはイーサリアムのエコシステムを食ってやろうと虎視眈々と狙ってるんでしょ?
Nori
そこはノーコメントで。というか真意なんて外部が分かるはずありませんから。

アバランチ(AVAX)早見表

名称 アバランチ(Avalanche)
ティッカーシンボル AVAX
通貨の最小単位 1 nAVAX = 0.000000001 AVAX
メインネット開始年月 2020/9
主な用途 分散型アプリケーション(DApps)のトランザクション手数料の支払い
ステーキング
考案者 Team Rocket(匿名グループ)
※発展させたのはEmin Gün Sirer氏
発行者 Ava Labs(ICO時のみ)
発行方法 ICOで配布後はステーキング
トランザクション速度 4,500 TPS(1秒あたりのトランザクション数)
※VISAは1,700 TPS
発行上限 7.2億 AVAX
コンセンサスアルゴリズム デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(dPoS)
※厳密にはアバランチ・コンセンサス
ファイナリティの種類 確率論的ファイナリティ(決済が覆される可能性が0にならない)
残高管理 X-Chain:UTXOモデル
C-Chain, P-Chain:アカウントモデル
Webサイト https://www.avax.network/
ホワイトペーパー https://assets.website-files.com/5d80307810123f5ffbb34d6e/6008d7bbf8b10d1eb01e7e16_Avalanche%20Platform%20Whitepaper.pdf
https://assets.website-files.com/5d80307810123f5ffbb34d6e/6009805681b416f34dcae012_Avalanche%20Consensus%20Whitepaper.pdf
エクスプローラー https://explorer.avax.network/

アバランチ(AVAX)の特徴

トランザクション処理が非常に早くて安い

アバランチは用途別にチェーンを分けて処理を並列化するとともに、独自のコンセンサスアルゴリズムであるアバランチ・コンセンサスを採用することで、高速かつ低コストのトランザクション処理を実現しています。

具体的には4,500 TPS(1秒あたりのトランザクション数)を処理できると言われています。

ビットコインが5~7 TPSであることを考えると十分すぎるほどの速さです。

決済完了(ファイナリティ)も瞬時なので、リアルタイムでの決済に十分活用できます。

送金手数料も最大で0.001 AVAX(2021/12相場では10円程度)と少額です。

アバランチ・コンセンサス

アバランチには古典的なコンセンサス(PBFT)とナカモト・コンセンサスの良いとこ取りをしたハイブリッド型コンセンサスであるアバランチ・コンセンサスが使われています。

アバランチコンセンサスは良いとこどり

アバランチ・コンセンサスでは、各トランザクションを全てのバリデーターで承認するのではなく、バリデーターの小さなグループを作り、各グループがそれぞれ異なるトランザクションを分担して承認します。

1つのトランザクションの承認に必要なバリデーターの数(総意を取るグループの数)は都度異なり、承認が覆される確率が「2万年に1度」に収まるまで繰り返されます。

アバランチ・コンセンサスは、他の一般的なコンセンサスとは異なり、バリデーターが増えてもやり取りするバリデーター自体は増加しないため、ネットワークの規模が拡大しても(分散性が高まっても)スケーラビリティが低下しません。

アバランチ・コンセンサスにおいては、悪意のあるバリデーターが80%未満であれば合意に達することができると言われています。

カスタマイズされた独自のネットワーク(サブネット)を作成できる

アバランチでは、ユースケースに応じてカスタマイズ可能なサブネットと呼ばれるバリデーターネットワークを構築できます。

サブネットは特定の条件を満たした人だけ参加できるように制限することも可能ですし、誰でも参加できるようにオープンにすることも可能です。

また、サブネットでは独自の暗号資産(トークン)を発行することが可能です。

サブネットのバリデーターは必ずアバランチのメインネットに参加しなければならず、サブネットのみに参加することはできません。

そのため、独自のネットワーク(トークン)を作る=アバランチのメインネットのバリデーターが増える=分散化が高まる、となっています。

3つのチェーンで成り立っている

アバランチは、役割の異なるX-Chain、C-Chain、P-Chainと呼ばれる3つのチェーンと、それらを管理するプライマリーネットワークで構成されています。

  • X-Chain:トークンの作成およびトレードに特化したチェーン。DAGと呼ばれる分岐構造により、トランザクションの並列化が可能。
  • C-Chain:イーサリアム仮想マシン(EVM)が実装されているチェーン。スマートコントラクトの実行が可能。
  • P-Chain:メタデータを記録するチェーン。バリデーターやサブネットの管理が可能。

アバランチ3つのチェーン

一般的なブロックチェーンはこれらの機能を分けずに同一のチェーン上で実行しますが、アバランチはそれを役割に応じて分けることで最適化しています。

なお、上記3つのチェーンもまたサブネットの一種です。

ステーキングによる金利収入を得られる

アバランチはバリデーターの選出方法としてデリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(dPoS)を採用しています。
デリゲート(delegate)は委任という意味です。
委任したいバリデーターに投票するには、25 AVAX以上のAVAXをステーキングする必要があります。
その見返りとして、ステーキングによる金利収入が得られます。
最低でも年利2%が保証されています。2021/12の実測値としては10%程度です。
詳しくはトークンのホワイトペーパーをご覧ください。

発行上限が定められており、トランザクション手数料は焼却(バーン)される

アバランチのネイティブ通貨であるAVAXには発行上限が設けられており、7.2億AVAXです。

そして、トランザクション手数料は焼却(バーン)されるため、総量は減り続けます。

つまり、デフレ型資産ということになります。

Rino
あれ?発行上限があってトランザクション手数料が全てバーンされるなら、AVAXの総量は減り続けていつか無くなっちゃうよね?どうするの?
Nori
すみません。私もそう思って調べたのですが分かりませんでした。ただ、発行数もそれなりにありますし、バーンされるとは言え少量ですから、その心配は当面不要です。ちなみにリップルにも同じことが言えますね。

通常のPoSには存在するスラッシュという罰金制度がない

通常、PoSの仕組みを採用しているブロックチェーンでは、バリデーターに責任ある行動を取らせるために、ステークさせた資産を没収するペナルティ制度を設けています。

このペナルティのことをスラッシュと呼びます。

スラッシュは、バリデーターとしての稼働率が悪かったり、悪意ある行動を取ったりした場合に行われます。

アバランチにはこのスラッシュがない珍しいブロックチェーンです。

スラッシュの要否については内部でかなり議論があったようですが、ネットワークへの参加のしやすさを優先した格好となります。

ブロックチェーンの相互運用性

アバランチは、イーサリアム仮想マシン(EVM)を実装しており、イーサリアムのスマートコントラクトを記述するプログラミング言語「Solidity」が使えるため、イーサリアムのDAppsをそのままアバランチに移植して動かせます。

例えば、イーサリアムのウォレットで有名なMetaMask、イーサリアムのDeFiでお馴染みのAaveやCurveもアバランチ上に展開しています。

開発者にとっては移植コストが極小化できるため、DAppsプロジェクトのエコシステムの拡大が容易になります。

他にも、アバランチとイーサリアムを繋ぐアバランチブリッジを2021/7にローンチし、ERC20トークンを2つのブロックチェーン間で移動できるようになりました。

今後、イーサリアム以外のブロックチェーンとも繋げる計画があります。

急速に拡大するエコシステム

メインネットが稼働してまだ1年程度ですが、エコシステムは順調に拡大しており、2021/12現在では156個のプロジェクトが存在します。

DeFiプラットフォームを目指しているだけあって、アバランチ最大の分散型取引所(DEX)であるPangolinやレンディング等の様々な金融サービスを提供するTrader Joeなど、DeFiのDAppsが中心です。

NFT Studioと呼ばれるNFT作成機能が搭載されてからは、NFT関連のプロジェクトも登場してきているため、必ずしもDeFiだけのプラットフォームではなくなりつつあります。

アバランチエコシステム

アバランチ(AVAX)の課題

バリデーターになるには多額の資金が必要

トランザクションを承認するバリデーターになるには、最低でも2,000 AVAXをステーキングしなければなりません。

2021/12現在、約2,000万円に相当するため、多額の資金が必要です。

これはシビルアタックというネットワーク攻撃を防ぐためです。

スラッシュというペナルティを設けていない以上、これはセキュリティ的に仕方ありません。

個人でバリデーターになるのは現実的ではないため、バリデーター数を増やすためには、エコシステムに参加するプロジェクトを増やすしかなく、バリデーターの数を一気に増やすことは難しいでしょう。

バリデーターの数は主張されているほど多くはない

アバランチは高い分散性を有していると主張しています。

2021/12現在、バリデーターの数は1,214です。これはソラナと同程度の分散性です。

リップル、ステラルーメン、ポルカドットの数百単位と比べれば多いものの、ビットコインやイーサリアムの万単位と比べればずっと少ない数です。

1,000を多いとみるか少ないとみるかは主観によるところが大きいですが、上には上がいるという事実を把握しておくことは重要です。

アバランチ(AVAX)の今後の展望

アバランチは分散性とスケーラビリティを両立したバランスの取れたDeFi開発プラットフォームです。

イーサリアムとの互換性を持たせたことでエコシステムを順調に拡大させ、メインネット稼働後1年足らずで時価総額10位にまで上り詰めた実績は目を見張るものがあります。

DeFiだけでなくNFTの機能も追加されたことから、さらなる成長が見込まれます。

スマートコントラクトを擁するレイヤー1のブロックチェーンは他にも複数存在し、競争していかなければなりませんが、十分戦っていけるだけの実力を兼ね備えていると言えるでしょう。

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