【ADA】カルダノ(Cardano)とは?

カルダノ(ADA)の概要

学術研究に裏付けられた安全性の高い第三世代ブロックチェーン

カルダノは、イーサリアム創設者の一人、チャールズ・ホスキンソン氏が考案したスマートコントラクトプラットフォームです。

ビットコインを第一世代、イーサリアムを第二世代と見立てて、カルダノはその次の世代(第三世代)のブロックチェーンを目指しています。

具体的には、第一世代と第二世代のブロックチェーンが抱える3つの課題である「スケーラビリティ」「相互運用性」「持続可能性」の解決を目指しています。

チャールズ・ホスキンソン氏本人がどのような考えでカルダノを作ったのか説明している動画がありますのでご覧ください。

チャールズ・ホスキンソン氏は2015年にカルダノの開発会社であるIOHK社を創業しました。

その際、彼は大阪の難波に住んでおり、カルダノのメインネットがローンチした2017/9までずっと日本在住でした。

日本にいた理由は、IOHK社のもう一人の共同創設者が大阪に住んでいたからです。

その人が「アジア版イーサリアム」のアイデアをチャールズ・ホスキンソン氏に伝えたことで、カルダノプロジェクトが始動しました。

そのため、カルダノは日本発のブロックチェーンと言っても過言ではないでしょう。

チャールズ・ホスキンソン氏のエピソードはYoutuberのユースケ氏のインタビューで知ることが可能です。

Rino
インタビュー動画を観ると親近感を覚えるわ。カルダノを応援したくなっちゃう!

なお、現在のカルダノプロジェクトは、スイスに本拠を置きコミュニティサポートや当局との調整を行うカルダノ財団、ITや研究に係わる技術を担当するIOHK社、そしてカルダノを利用するスタートアップへ投資するEmurgo社の3団体によって推進されています。

カルダノを推進する3団体カルダノを推進する3団体(出典:カルダノ公式サイト)

カルダノは既存のブロックチェーンの技術を流用することはせず、ゼロから構築されたブロックチェーンです。

また、いきなり構築することはせず、大学等と協力して基礎研究を行って論文を投稿します。そして、第三者(有識者)から査読を受けて通過したものに基づいて構築する方式を採用しています。

そのため、他プロジェクトに比べて進捗は遅くなるものの、将来を見据えた設計を行って高品質のシステムを最初から構築できる点が特徴です。

Nori
将来を見据えた設計とは「今は使わないけど、将来はこうしたい。そうなった時に今あるモノに悪影響が出ないように、ここはこういう仕組みに最初からしておこう。」といったイメージです。アプリやスマホゲームが時間の経過とともにごちゃごちゃして使いづらくなったり、遅くなったり、不具合が起きやすくなったりしませんか?それらは将来を見据えた設計ができていないことが主要因であることが多いのです。強引に機能をつぎはぎすることで問題が表面化してしまうわけです。

カルダノ(ADA)早見表

名称 カルダノ(Cardano)
ティッカーシンボル ADA
通貨の最小単位 1 Lovelace = 0.000001 ADA
メインネット開始年月 2017/9
主な用途 分散型アプリケーション(DApps)のトランザクション手数料の支払い
ステーキング
ガバナンス投票(将来)
考案者 チャールズ・ホスキンソン氏
発行者 カルダノ財団(ICO時のみ)
発行方法 ICOで配布後はステーキング
トランザクション速度 1,000 TPS(1秒あたりのトランザクション数)
※VISAは1,700 TPS
発行上限 450億 ADA
コンセンサスアルゴリズム デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(dPoS)
ファイナリティの種類 決定論的ファイナリティ(決済が確定し、覆されることがない)
残高管理 拡張UTXOモデル
Webサイト https://cardano.org/
ホワイトペーパー 不明 論文集:https://iohk.io/en/research/library/
エクスプローラー https://explorer.cardano.org/ja

カルダノ(ADA)の特徴

学術研究に力を入れている

カルダノは大学と協力して様々な分野(暗号化、ゲーム理論、ID管理、プログラミング言語)の学術研究を行っています。

研究パートナーには、イギリスのエディンバラ大学(東大より上のランク)、東京工業大学、ギリシャのアテネ大学と名門大学が名を連ねています。

カルダノ研究パートナーカルダノ研究パートナー(出典:IOHK公式サイト)

100を超える学術論文が既に作成されており、IOHKのライブラリーページに公開されています。

これらの論文は学会の有識者(第三者)の査読を受けており、カルダノはその論文に基づいて開発を進めるスタイルを採用しています。

理論をしっかりと構築した上でモノづくりを行うため、ブロックチェーンの品質や安全性は高いと言えるでしょう。

ただし、研究→論文→査読・評価→実装という流れになるため、開発スピードは他プロジェクトと比べて緩やかです。

Nori
プロジェクト外部のレビューを得た上で開発しているので、基盤に対する安心感がありますね。複数名によるチェックは品質を高める上で効果的です。

スマートコントラクトの実装

DApps開発とメタデータ追加

カルダノはスマートコントラクトプラットフォームです。

スマートコントラクト機能は、2021/9に大型アップグレード「アロンゾ(Alonzo)」で実装されました。

開発のスピードがゆっくりであることは既に述べた通りですが、プロジェクトの開始が2015年であることを考えると実に6年間もの時間を要したことになります。

スマートコントラクト機能が実装されたことで、分散型金融(DeFi)を始めとする分散アプリケーション(DApps)がカルダノ上で構築できるようになりました。

なお、カルダノではコントラクトを記述するだけでなく、トランザクションにメタデータを追加することで特定時点での何らかのデータの存在を証明することが可能です。

真贋鑑定(ニューバランスとの提携)

メタデータを活用することで、本物の製品か否かを判定できます。

例えば、カルダノは2019/9にシューズメーカーのニューバランスと提携しました。

提携の目的はカルダノブロックチェーンを利用して、コレクターエディションのシューズが正規品であることを保証することです。

その翌月、チャールズ・ホスキンソン氏は真贋鑑定用パイロットプログラム「NB Realchain」が開始したことを発表しました。

独自のPoSアルゴリズム「ウロボロス(Ouroboros)」

カルダノのコンセンサスアルゴリズムは独自のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)です。

名前をウロボロス(Ouroboros)と呼びます。

ウロボロスでは、チェーンをエポックという単位に分割し、それをさらにスロットという単位に分割した上で、トランザクションの入ったブロックを処理します。

チェーンにブロックを追加する役割を担うスロットリーダーはスロットごとにランダムに選出(完全なランダムではなくステークあるいは委任されたADAの量が考慮される)されます。

スロットリーダーとはステークプールのことであり、チェーンにブロックを追加するとステークプールに報酬が与えられます。

ステークプールは、ノードを運用するための知識や資源を有する個人または企業によって運営されています。

ADAの所有者は、ステークプールになる(ノードを自ら運用する)代わりに、保有するADAを特定のステークプールに委任してスロットリーダーとして選ばれる可能性を高めることで、ステークプールが獲得するADA報酬の一部をシェアしてもらうことが可能です。

カルダノ決済レイヤーとカルダノ計算レイヤーの2層に分離

カルダノのブロックチェーンは、PoSによる合意形成や残高を管理するカルダノ決済レイヤー(CSL)とスマートコントラクトの計算を行うカルダノ計算レイヤー(CCL)という2層に分離されています。

イーサリアムは1つの台帳で決済と計算を管理しているため、トランザクションが多くなり、渋滞しがちです。

ブロックチェーンを2層に分離することで、大量のトランザクションを処理できるようになります。

レイヤー2ソリューション「ハイドラ(Hydra)」

ハイドラ(Hydra)は、スケーラビリティに関する3つの課題「高トランザクション出力」「低レイテンシー」「ノードあたりストレージ」を解決するためのオフチェーンプロトコルです。

オフチェーンとは、ブロックチェーンの外側という意味です。外側で処理を行うことで高速化を図る仕組みです。

なお、メインのブロックチェーンのことをレイヤー1と呼び、その上に存在する階層のことをレイヤー2と呼びます。オフチェーンはレイヤー2に相当します。

さて、ハイドラのステートチャネル(チェーン外部で状態を管理する場所)によってトランザクション処理の並列化が可能となり、トランザクション速度(TPS)が大幅に改善します。

各ステートチャネル(ヘッドと呼ばれる)が最大1,000 TPSのパフォーマンスを発揮できる試算のため、もし1,000個のヘッドがあれば、理論上は1,000,000 TPSにもなります。

ハイドラは2022/6に実装される予定です。

ネイティブな独自トークンを発行できる

カルダノのマルチアセット台帳ではネイティブな独自トークンを発行できます。

従来のイーサリアムのERC20規格のような非ネイティブトークンの場合、送受信にもスマートコントラクトを介することになるため、ネイティブトークンより手数料が高く、コントラクト内容によってはセキュリティが弱くなる可能性があります。

他方、カルダノの場合、ADAと同等のネイティブトークンとして独自トークンを発行できるため、送受信するだけならスマートコントラクトは不要です。

そのため、他の主要ブロックチェーンと比べて低コストかつ高セキュリティな独自トークンを発行できるのです。

なお、同様の原理でNFTを発行することも可能です。

量子コンピューターへの耐性

ブロックチェーンに用いられている暗号技術は現在のコンピューターでは事実上、解読不可能と言われています。

しかし、量子コンピューターが登場すると計算速度が飛躍的に向上することが見込まれるため、暗号が解読される可能性が出てきます。

そのため、将来的には量子コンピューターに対する耐性(解読できない技術)が必要です。

カルダノには、量子コンピューターへの耐性として、格子暗号を利用した電子署名である格子ベース署名(BLISS)が既に実装されています。

もし、想定以上のスピードで量子コンピューターの開発が進んだとしても、カルダノのブロックチェーンは安全であると言えるでしょう。

DAO構想

カルダノは長期にわたる維持と改良のために分散化された組織(DAO)を目指しています。

そのために導入が予定されている仕組みが投票システムとトレジャリーシステムです。

カルダノネットワーク参加者はカルダノ改善提案(CIP)を提示でき、ADA保有者が提案の実行可否を投票システムでの投票によって決定します。

他方、トレジャリーシステムとは、将来のネットワーク開発のための資金源を集金・提供するシステムのことです。

トレジャリーシステムによって、すべてのトランザクション手数料からわずかなADAが都度プールされるようになります。

そのプールされたADAが、資金提案(FP)のへ投票を通じて割り当てられます。

この2つのシステムが搭載されてはじめてカルダノは真に分散化を果たし、IOHKの管理下から離れてコミュニティの手に委ねられるのです。

アフリカをターゲットに

チャールズ・ホスキンソン氏はブロックチェーンアフリカ2021にて基調講演を行いました。

アフリカにはまだ銀行口座を持たない人たちが大勢存在します。

アフリカには広大な土地があり、デジタルネイティブの若い人達が大勢います。

彼はアフリカの発展を信じ、アフリカに焦点を当てることを公言しています。

詳しい内容はIOHKの記事(動画あり)をご覧ください。

独自の資金調達方法「ISPO」

カルダノにはInitial Stake Pool Offering (ISPO)と呼ばれる独自の資金調達方法が用意されています。

ADA保有者は、ISPOを実施している各プロジェクトのステークプールに自分のADAを委任します。ISPOステークプールにADAを委任した者は、ADAの代わりにプロジェクトトークンを受け取ることが可能です。

各プロジェクト(ステークプールのオペレーター)は、ステーキング報酬としてADAを受け取ります。これがプロジェクト資金となります。

委任者はプロジェクトトークンを取得でき、プロジェクトチームは委任のおかげでより多くのADAをステーキングできて、より多くのADA報酬を獲得できますので、ISPOは委任者とプロジェクトチームの両方に利益をもたらします。

ISPOでは預けたADAの持ち逃げは不可能なため、安心して委任することができます。

ISPOを実施しているプロジェクトには、MELDRay NetworkSundaeSwapGenius Yield等があります。

なお、ISPOと同様の仕組みは他のブロックチェーンにも採用されています。例えば、ポルカドットのクラウドローン等です。

Nori
ADAを失う心配はないものの、約束通りのプロジェクトトークンが約束通りの時期に配布されるかはプロジェクト次第なので、悪質なプロジェクトの場合、プロジェクトトークンをきちんと貰えずに、結果として通常のADAのステークプールに委任していた方が儲けられたという機会損失のリスクはあります。

ロードマップ

カルダノの開発ロードマップは、Byron(バイロン)、Shelley(シェリー)、Goguen(ゴーグエン)、Basho(バショウ)、Voltaire(ボルテール)の5期に分かれています。

カルダノのロードマップカルダノのロードマップ(出典:カルダノ公式サイト)

各期にはそれぞれテーマが決められています。

各期における研究・開発は順序立てて進められているわけではなく、同時並行的に進められています。

ただし、リリースは順番取りに行われており、2022/2現在、Goguen期のAlonzoまでがリリースされています。

  • Byron(2017/9):メインネット稼働。IOHKが開発したフルノードウォレット「ダイダロス(Daedalus)」、Emurgoが開発したライトウォレット「ヨロイ(Yoroi)」の提供開始。
  • Shelley(2020/7):ネットワークの分散化。PoSが実装され、ノード運営がコミュニティ主体に。
  • Goguen(開発中):スマートコントラクトの提供。マルチアセット台帳による独自トークンの発行。スマートコントラクトの実装により、DApps開発が可能に。Babbageでさらなる改善予定。
    • Allegra(2020/12)
    • Mary(2021/3)
    • Alonzo(2021/9)
    • Babbage(2022予定)
  • Basho:スケーリングとネットワークの相互運用性。サイドチェーンの導入により大量トランザクションの高速処理が可能に。サイドチェーンでは残高管理をUTXOモデルかアカウントモデルで選択可能に。レイヤー2技術「ハイドラ(Hydra)」の提供も予定。
  • Voltaire:ガバナンス。投票システムとトレジャリーシステムをプロトコルに組み込む。

参考:https://roadmap.cardano.org/ja/

Rino
松尾芭蕉の絵だけ、なんかグシャッとしてない?なんであえてこれにしたんだろうね。

カルダノ(ADA)の課題

プロジェクトの進捗が遅い

カルダノのプロジェクトは2015年から始まっており、暗号資産の中では古株の部類です。

にも関わらず、スマートコントラクトが実装されたのは2021年とつい最近のことです。

カルダノは基礎研究をしっかり行った後に実装するというスタイルなため、進捗スピードが他プロジェクトと比べて緩やかです。

長期視点で投資しないと、ヤキモキすることになってしまうでしょう。

ICO時の怪しいイメージが残っている

カルダノは日本の投資家に対してICOで資金調達を行いました。いわゆるプレセールです。

その際の最低販売価格が1,000ドルと高額でした。

高額のICOは、販売後に持ち逃げするケースが多く、カルダノのADAも詐欺なんじゃないかと疑われたのです。

また、MLM(マルチ商法)の仕組みを採用していたことも悪印象に繋がりました。

MLMは暗号資産関連の犯罪に気を付けようでも述べた通り、詐欺でよく使われる手法です。

MLMは紹介報酬の豪華さから過剰な宣伝になりやすく、案の定、怪しい情報商材屋(アフィリエイター)による誇大広告のもと販売されてしまったのです。

さらに、ICOが日本だけで、当初言われていた計画通りにプロジェクトが進まなかったというのも警戒された要因の1つでした。

Nori
日本はお金持ちで、でも金融リテラシーが低く、疑うことをあまりせずに大人しい国民性のためか、残念なことに世界中の詐欺師からカモにされやすいです。
Rino
怪しいイメージで思い出したんだけど、「ADAはカジノで使える」ってどこかの記事で読んだわ。あれ、ほんとなの?
Nori
ユースケースの1つとしてカジノに注目していた時期はあったものの、イメージの悪さからその計画は中止となったようです。現在は特定の用途向けではない、汎用的なスマートコントラクトプラットフォームとなっています。

カルダノ(ADA)の今後の展望

カルダノは学術研究による理論に基づいて土台をしっかりと着実に固めていくスタイルのブロックチェーンです。

学術研究の裏付けがあるため、システムの信頼性は高いと言えるでしょう。

その反面、理論構築までに時間がかかるため、開発の進捗は緩やかです。

石橋を叩きながらプロジェクトを慎重に進めているようなイメージです。

ADAへの投資については、短期の投機目線よりは長期の投資目線の方が向いています。

ロードマップに沿って一歩一歩前進していくことで、エコシステムは徐々に拡大していくため、ADAの価値はそれに伴って徐々に上がっていくことが期待されます。

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