ポルカドットのパラチェーンオークションとクラウドローン
パラチェーンオークションとは?
ポルカドットは複数のブロックチェーンの相互運用性を目指しているWeb3のプロジェクトです。
プロトコルの異なるブロックチェーンをポルカドットに繋ぐことで、ポルカドットエコシステム内でデータやトークンを自由にやり取りできるようになります。
ポルカドットは円状のイメージで表され、スロットと呼ばれる枠に各プロジェクトのブロックチェーンが繋がる構造です。
そしてスロットに繋がったブロックチェーンのことをパラチェーンと呼びます。
パラチェーンのスロット数には上限が設けられており、2022/1時点では100個までです。
そのため、スロットを誰でも自由に取得できるものではなく、スロットを賭けてライバルのプロジェクトと勝負し、勝ち取る必要があります。
その勝負の方法がパラチェーンオークションです。
名前の通り、オークション形式でパラチェーンのスロット獲得を競います。
何で競い合うかというと、DOTの保有量で競います。
DOTを一番多くポルカドットのチェーンに預けた(ロックした)プロジェクトが勝利するというわけです。
各パラチェーンオークションの期間は1週間です。
5~6個のオークションを1セット(バッチと呼ぶ)にして開催し、各パラチェーンオークションが被らないように開始時期はずらされます。
オークションはキャンドルオークションと呼ばれる方法で行われます。
キャンドルオークションでは、オークション終了後にどのタイミングのDOT保有量で勝者を判定するかをランダムに自動で決定します。
終わってみなければ判定時期が分からない仕組みのため、各プロジェクトはDOTの保有量が常に一番くなるように(最善を尽くすように)動機付けされるのです。
オークションに勝利すればパラチェーンとしてポルカドットに接続できますが、永久に接続できるわけではありません。
パラチェーンのスロットはリース扱いであり、最大96週間(2年間)しか接続できません。
96週間のリース終了後に接続は解除され、ポルカドットのチェーンに預けていたDOTは各自の元に自動的に返却されます。
要するに途中解除NGの2年間の長期ステーキングというイメージです。
パラチェーンに再度なりたい場合は、その時開催されるパラチェーンオークションに改めて参加して勝たなければなりません。
なお、バッチ1(スロット1~5)のパラチェーンオークションが2021/11/11~12/16にわたって開催され、Acala、Moonbeam、Astar、Parallel、Cloverが順に勝利し最初のパラチェーンになりました。
2021/12現在、バッチ2(スロット6~11)のパラチェーンオークションが2021/12/23~2022/3/10にわたって開催中です。
クラウドローンとは?
パラチェーンオークションはロックしたDOTの量で勝負します。
各プロジェクトが事前にDOTを調達してロックするのですが、それだけでなく、投資家が各プロジェクトを支援することが可能です。
それがクラウドローンです。
各プロジェクトはクラウドローンを通じて、投資家からDOTを借りることができるのです(ローンはプロジェクト側の視点での言葉であり、投資家は貸し出す側)。
これによって、より多くのDOTを集めてオークションに臨めます。
クラウドローンの受付はパラチェーンオークション前から始まり、オークション終了とともにクラウドローンの受付も終了となります。
ところで、2年間もの間、DOTをボランティアで貸し出す投資家はまずいません。
そのため、各プロジェクトはクラウドローンでDOTを貸してくれた投資家に対して、その御礼としてDOT提供量に応じてプロジェクトのトークンを配布します。
投資家としてはそのプロジェクトの将来性とトークンの価値を吟味することになるでしょう。
クラウドローン参加前の注意事項
クラウドローンで貸し出したDOTは96週間ロックされて引き出せない
上記に記載した通り、DOTをクラウドローンで貸し出すと、96週間(2年間)の間ロックされて売却も送金もできません。
急な入用で「どうしても現金化したい!」と思ってもできません。
クラウドローンに限った話ではありませんが、生活に支障が出ない余裕資金で参加しましょう。
polkadot{.js}ウォレットの残高が1 DOT未満だと全額没収される
ポルカドットには、リソース節約のために実存残高というルールが存在します。
どういうルールかと言いますと、後述するpolkadot{.js}ウォレットのアカウント残高が1 DOT未満の場合、未使用アカウントと判断されて残高が全て没収された上にノンアクティブ状態になります。
1 DOT以上を再入金すれば自動的にアクティブに変わりますが、0.99DOT等の場合、数千円近いお金を失うことになりますので、polkadot{.js}ウォレット内には1 DOT以上を常に残すようにしましょう。
1 DOT未満になっても警告やアラートの類は一切ありませんので、クラウドローン参加時だけでなく送金時にも十分ご注意ください。
なお、DOTだけでなくpolkadot{.js}ウォレットにある他のトークンも実存残高のルールに従います。
参加方法やタイミングによっては追加ボーナスをもらえない
クラウドローンでDOTを貸し出す見返りにプロジェクトのトークンを入手できます。
しかも、参加方法やタイミングによっては追加ボーナスをもらえることがあります。
追加ボーナスの内容は参加方法やプロジェクトによって異なりますが、早期(オークション開始前)にクラウドローンに参加した人に対して配布するトークンを増量することが多いです。
中には独自のNFTをプレゼントするプロジェクトもあります。
逆にいえば、適当に参加してしまうとこれらの追加ボーナスを取り損なってしまいます。
各自しっかり事前に調査してリスクを念頭に入れつつ最大限のリターンを得るにはどうすればよいかを検討しましょう。
参加方法によって最初にトークンを受け取れるタイミングが異なる
クラウドローンの参加方法にはいくつかあるのですが、各プロジェクトのWebサイトから参加した場合が最も早くトークンが配布される可能性が高いです。
パラチェーン獲得の第一号と第二号であるAcalaとMoonbeamはそうでした。
上場時に売り抜けようと考えている人にとって、トークン配布のタイミングは極めて重要となります。
受け取ったトークンをいつ売却するつもりなのか事前によく考え、その計画にマッチした参加方法を選択しましょう。
クラウドローンの参加は5 DOT以上が条件
各プロジェクトのクラウドローンへ参加するためには、プロジェクトごとに最低でも5 DOT以上が必要です。
トランザクション手数料や実存残高のことも考慮すると、7 DOT以上は用意しておく方が良いでしょう。
クラウドローンの参加方法
①プロジェクトの調査
まずはどのようなプロジェクトがクラウドローンを受け付けているのかを知るところから始めます。
何を目指したプロジェクトなのか、どんな組織(人物)か、投資家やパートナーは誰か、トークンの名前や配布量はどの程度か、既に市場で取引されているなら価格はいくらで今後伸びそうか等を調査しましょう。
各プロジェクトの公式サイトや公式SNSをはじめ、DotMarketCapやParachains.infoにもポルカドット関連の情報がまとめられていますので、ぜひ参考になさってください。
上がDotMarketCap、下がParachains.infoのトップページ(出典:各サイト)
DotMarketCapもParachains.infoも英語サイトではありますが、PCのGoogle Chromeであれば右クリックして「日本語に翻訳」、スマホであれば画面下の「日本語」を選べば日本語に翻訳できますし、そこまで文章も多くありませんので、読むのにそこまで苦労しないでしょう。
クラウドローン関連の情報は「Auction(s)」ページにアクセスすれば見ることができます。
なお、両サイトともポルカドットだけでなく姉妹プロジェクトであるクサマ(Kusama)の情報も掲載されていますので、混同されないようにご注意ください。
クサマはポルカドットの試験場の位置づけであり、各プロジェクトはクサマでまずはポルカドットの構造や運用を理解して、その後本番としてポルカドットに接続するといった順序を取ることが一般的です。
クサマにもオークションやクラウドローンは存在しており、クサマの時からクラウドローンに参加しているとポルカドットのクラウドローン時に特別ボーナスを提供してくれることもありますので、余力があればそちらも覗いてみるといいでしょう。
②polkadot{.js}ウォレット(公式ウォレット)の作成と初期設定
拡張機能のインストール
クラウドローンに参加したいプロジェクトが見つかったら、公式ウォレットであるpolkadot{.js}ウォレットを準備します。
polkadot{.js}ページはスマホに最適化されていないため、以降はパソコンで作業することをお勧めします。
まずはじめにpolkadot{.js}拡張機能をインストールします。
Google Chromeでpolkadot{.js} extensionにアクセスして、「Chromeに追加」をクリックします。
追加されるとChrome画面右上にちらっとオレンジ色のpマークのアイコンが表示されますが、すぐに隠れてしまいます。
その場合は、パズルピースのようなアイコンをクリック後、ピンアイコンをクリックすれば常時表示されるようになります。
これで拡張機能のインストールは完了です。
アカウント作成
次にアカウントを作成します。
polkadot{.js}拡張機能のpマークのアイコンをクリックし、以下の画面が表示されたら「Understood, let me continue」をクリックします。
次に丸い画像をクリックします。
ニーモニックシードをメモしたら、チェックを入れて「Next step」をクリックします。
モザイクをかけていますが、実際はオレンジの文字で12個のニーモニックシード(秘密鍵)が表示されます。絶対に忘れたりメモを無くしたりしないようにしましょう。
くどいようですが、ニーモニックシードは絶対に無くさないようにしてください。これを無くすとウォレットを誰も復元できなくなります。それとニーモニックシードは第三者に教えるのも厳禁です。ニーモニックシードを教えることは、金庫の鍵を複製して渡すのと同義です。
誰かがあなたのニーモニックシードを聞いてきたら、ほぼ間違いなくあなたの資金を奪う詐欺師です。どんな事情があろうと絶対に第三者に教えてはいけません。
好きなアカウント名を入力し、アカウントのパスワードを登録します。
パスワードの再入力まで終わったら、「Add the account with the generated seed」をクリックします。
これでアカウントが作成できました。
さて、polkadot{.js}拡張機能には複数のチェーンのアドレスが存在します。ここでは試しにポルカドットのチェーンに切り替えてみましょう。
三本線をクリックします。
「Allow use on any chain」をクリックします。
なお、「Allow use on any chain」はチェーンの自動判断(Auto)と考えると分かりやすいです。通常は、「Allow use on any chain」でOKです。
「Polkadot Relay Chain」をクリックします。
そうするとポルカドットのアドレスに変わります。「Polkadot」のラベルが付いていることを確認します。
ここに表示されている13から始まるアドレスがポルカドットのアドレスになります。
ポルカドットのアドレスを確認できたら、チェーンの選択を初期の「Allow use on any chain」に戻しておきましょう。
ウォレットアプリとの連携
アカウントが作成できたら、それをウォレットアプリと連携させます。
polkadot{.js}ページにアクセスして、左上の「polkadot.js.org/apps」リンクをクリックします。
初回アクセス時は認証確認画面が表示されますので、「Yes, allow this application access」をクリックして許可します。
画面左上がポルカドットのアイコンになっていることを確認後、「Accounts」をクリックして、「アカウント」をさらにクリックします。
中央の「アカウント」エリアに先ほど作成したアカウントの名前とアドレスが一致していることを確認します。
一致していれば連携は正しく完了しています。これでいつでもこのウォレットアプリを使えます。
もし、画面上部のメニューの「設定」に丸数字が表示されていれば、アプリの更新のお知らせかもしれません。
以降は丸数字が表示されている場合のみ実施してください。
「設定」、「Metadata」の順にクリックし、「エクステンション」エリアに以下のような最新版のバージョン表示がされていたら、「Update metada」をクリックします。
確認画面が表示されたら、「Yes, do this metadata update」をクリックします。
「エクステンション」エリアの表示が「No Upgradable extensions」と表示されれば更新完了です。
③ポルカドット(DOT)の購入
国内取引所で購入する場合
DOTを取り扱っている国内取引所は、2022/1時点ではGMOコインとBITPOINTのみです。
GMOコインは送金手数料および銀行への振込手数料が無料で便利です。
ビットコインやイーサリアムの送金手数料は数千円程度かかりますので、送金手数料が無料な点は何かと重宝します。
ただ、GMOコインにしてもBITPOINTにしても購入方法は販売所での取引(利用者と国内取引所間の取引)になるため、購入価格は世界の市場価格より数%ほど高くなります。
販売所での取引は「取引手数料無料!」と謡われることが多いですが、売却価格と購入価格の差分(スプレッドと呼ぶ)は立派な手数料であり、しっかりと手数料は取られています。
手数料の取り方と呼び名が違うだけです。
ですので、販売所での取引の場合、厳密には「取引手数料(は)無料!(でもスプレッド手数料は発生します!)」となります。
海外取引所で購入する場合
海外取引所の中で最も有名でかつ取引量が多い取引所といえば、バイナンス(Binance)です。
暗号資産のバイナンスへの上場はいわば東証一部上場のようなイメージです。
DOTはバイナンスに上場していますので、海外取引所で購入する経験が浅い方はバイナンスで購入してはいかがでしょうか?
色々なサービスがありますし、日本語対応しています。
さて、海外取引所で購入するメリットは以下の通りです。
- 取り扱い銘柄が圧倒的に多い
- 取引所での取引(利用者同士の取引)がメインなのでチャート機能が優秀
- ステーキング、セービングなどの金融サービスが豊富
- トータルの手数料が国内取引所より安いことが多い
慣れたら国内取引所を積極的に使いたいとは思わなくなるでしょう。
ただ国内取引所と違って、金融庁による監視や強制力が届かないため、何か大きなトラブルが発生した際に助けてもらえません。
不要なリスクを減らすためにも、特別な理由がない限り、大手の海外取引所を使うのが無難です。
海外取引所の取引所スコアがCoin Market Capに掲載されておりますので、こちらをご参考になさってください。
以下のボタン経由でバイナンスの口座を開設いただくと、現物取引の手数料が10%オフになります。
なお、バイナンス等の海外取引所でDOTを購入する場合、日本円で暗号資産を直接購入できませんので、国内取引所でビットコインまたはイーサリアムを一旦購入して、それを海外取引所に送金(出金)し、希望する暗号資産とトレード(交換)する必要があります。
そのため、送金中の価格変動リスクがあります。また、取引所での取引(利用者同士での取引)となるため、取引手数料が若干発生する点はご注意ください。
ここではGMOコインでビットコインを購入済で、それをバイナンスに送金してDOTを購入するという想定で説明します。
送金先となるバイナンスの入金アドレスを確認してみましょう。
バイナンスにログイン後、「ウォレット」から「フィアットと現物」をクリックします。
色々な暗号資産の保有状況が一覧で表示されます。ビットコイン(BTC)の行にある「入金」をクリックします。
ネットワークは「BTC」を選択します。すると、下にアドレスが表示されます。これがバイナンスの入金アドレスです。
後で使いますのですぐ隣の□が2つ重なっているアイコンをクリックしてコピーしておきましょう。
GMOコインからビットコインをバイナンスに送金します。
送金手順は後述する「④クラウドローンへの参加(Contribute)」の方法1に記載しておりますので、そちらをご覧ください。
ただし、後述の手順はポルカドットを公式ウォレットに送金する手順となっておりますので、ポルカドットをビットコイン、公式ウォレットをバイナンスと読み替えてください。
さて、ビットコインをバイナンスに送金したら、着金まで1時間ほど待ちます(混んでる場合はもっとかかることがあります)。
上記の「フィアットと現物」画面にてバイナンスへの入金を確認できたら、「トレード」から「クラシック」をクリックします。
チャートが表示されますので、銘柄一覧の入力欄に「DOTBTC」と入力し、「DOT/BTC」をクリックして銘柄を変更します。
その後、注文方法を「成行」に切り替えて、購入したいDOT数を直接入力するか、スライダーを右に動かして保有ビットコインの何パーセント分のDOTを購入するかを決めて、「DOT 購入」をクリックすれば購入完了です。
④クラウドローンへの参加(Contribute)
参加方法は主に4種類
クラウドローンの参加方法は主に4種類あります。メリット、デメリット含めてそれぞれ説明いたします。
- 【方法1】polkadot{.js}ウォレットから参加
- 【方法2】各プロジェクトのWebサイトから参加
- 【方法3】Parallel等の第三者プラットフォームから参加
- 【方法4】クラウドローン対応の海外取引所から参加
【方法1】polkadot{.js}ウォレットから参加
デメリット:原則としてボーナスの類は受け取れず、基本報酬のみ。報酬配布のタイミングが方法2に比べて遅れることがある。
公式ウォレットであるpolkadot{.js}ウォレットにはクラウドローン参加のためのページが用意されていますので、それを利用します。
そのためには、先に公式ウォレットのアドレスにDOTを送金しなければなりません。
DOTを購入した取引所の送金(出金)機能を使って、ポルカドットのアドレス(上記で言うところの13から始まるアドレス)にDOTを送金してください。
GMOコインの場合、「入出金 暗号資産」から「ポルカドット」をクリックします。
出金先をあらかじめ登録しておくと入力ミスを防げるので、大変便利です。
「新しい宛先を追加する」をクリックします。
出金先の名称(お好きな名前)と出金先となるポルカドットのアドレス(上記に登場した13から始まるアドレス)を入力して、「登録する」をクリックします。
GMOコインに登録しているメールアドレスに確認メールが届きますので、そのメールを開いてメール内のリンクをクリックします。
確認画面が表示されますので、内容に問題がなければ「認証を完了する」をクリックします。
これで出金先が登録されましたので、再度ログインします。
「入出金 暗号資産」から「ポルカドット」を改めて選択後、「送付」タブで出金画面を表示します。
先ほど登録したアドレス帳(公式ウォレット)を選択して、出金予定額を入力後、SMS認証して「確認画面へ」をクリックして出金を確定させてください。
これでpolkadot{.js}ウォレットに送金されます。
バイナンスの場合、「ウォレット」から「現物」をクリックし、検索窓に「DOT」と入力します。
DOTが表示されたら、「出金」をクリックします。似たような名前のものがありますので、ご注意ください。
通貨で「DOT」を選択し、出金先のアドレスを入力して、ネットワークで「DOT」を選択します。
そして、出金予定額を入力後、「出金」をクリックします。下図では残額不足で出金ボタンが無効になっていますが、残高があれば押すことが可能です。
出金が無事行えたら、polkadot{.js}ウォレットで着金を確認します。
ウォレットアプリにアクセスして、ポルカドットのチェーンになっていることを確認します。
「Accounts」から「アカウント」を選択し、上記の送金先アドレスと「アカウント」欄のアドレスが一致していることを確認します。数分以内に残高欄に送金したDOTが表示されます。
無事着金できていたら、「Network」から「パラチェーン」をクリックします。
「Crowdloan」をクリックし、クラウドローンに参加したいプロジェクトの「Contribute」をクリックします。
接続されているウォレットアドレスに間違いがないことを確認し、クラウドローンに参加したいDOT数量を入力した後、「Contribute」をクリックします。
なお、参加条件は5 DOT以上となっています。トランザクションのために少量のガス代が必要なのと実存残高のために1 DOTが必要なので、クラウドローン参加後のウォレット残高が1 DOT以上になるように、ウォレット残高全額を入力しないように気を付けましょう。目安として残高から2 DOTを差し引いたDOT数量を入力すればまず問題ないでしょう。
以下の画面は基本的に何も変更せずに(※)デフォルトのままで「Sign and Submit」をクリックします。
※画面中央に「Do not include a tip for the block author」スイッチがあります。これはチップを渡してトランザクションを高速化したい場合にONにするものです。画像の通り、灰色になっていればOFFの状態です。「チップを含めたくない場合はONにしてね」とも読み取れるUXデザインで、非常に紛らわしいです。基本的にOFF(灰色)で大丈夫です。
過去、ここをうっかりONにして表示されるチップ欄を送金額の入力欄と勘違いして、大切な資金を失ってしまった方が実在します。初心者の方はくれぐれもONにしないようにしましょう。
この後、トランザクション確認画面が表示されますので、ウォレットのパスワードを入力して承認すればクラウドローンへの参加は完了です。
完了後、クラウドローンに参加したプロジェクト欄に「My contributions(1)」と表示されていれば、無事参加できたことになります。なお、「My contributions(1)」をクリックすれば、ロックしたDOT数量などを確認できます。
【方法2】各プロジェクトのWebサイトから参加
デメリット:DOTをポルカドットのチェーンではなくプロジェクトに預ける形になるので、プロジェクトを信じる必要がある(詐欺プロジェクトだった場合、持ち逃げされるリスクがある)。各プロジェクトのサイトから参加するため、手続きが微妙に異なりやや面倒。
まずはDOTをpolkadot{.js}ウォレットに送金します。手順は方法1をご覧ください。
続いて、クラウドローンに参加したいプロジェクトのWebサイト(例としてEquilibrium)にアクセスします。
クラウドローンを受け付けている場合は、トップページの目立つ場所にボタンやリンクが設置されていることが多いので、探してクリックします。
DOTの入力やウォレット接続を行える画面に遷移することが多いです。ウォレットに接続しましょう。
ウォレットを接続しようとしているサイトが正しいサイトであることをURLで確認し、問題なければ「Yes, allow this application access」をクリックします。
ウォレットに接続できたら、画面に接続したウォレットのアドレス等が表示されます。残高を確認して、クラウドローンに参加したいDOT数量を入力して次に進みましょう。
この際、報酬を一緒にシミュレーションできることもあります。
この後、トランザクション確認画面が表示されますので、ウォレットのパスワードを入力して承認すればクラウドローンへの参加は完了です。
プロジェクトサイトからクラウドローンに参加した場合、polkadot{.js}ウォレットを確認しても「My contributions(1)」が表示されないケースがあります。
これは冒頭に記載したデメリットにある通り、ポルカドットチェーンにDOTを直接貸し出しているわけではなく、プロジェクトに貸し出しているからです。
【方法3】Parallel等の第三者プラットフォームから参加
デメリット:DOTをポルカドットのチェーンではなくプロジェクトに預ける形になるので、プロジェクトを信じる必要がある(詐欺プロジェクトだった場合、持ち逃げされるリスクがある)。報酬の配布タイミングは方法2に比べて遅れる。
まずはDOTをpolkadot{.js}ウォレットに送金します。手順は方法1をご覧ください。
続いて、Parallel等の第三者プラットフォームのWebサイト(例としてParallel)にアクセスします。
Parallelクラウドローン:https://crowdloan.parallel.fi/#/auction/polkadot
クラウドローンに参加したいプロジェクトをクリックします。
クラウドローンに参加するDOTの数量を入力し、必要であればParallelの紹介コードを入力し、チェックを入れたら「Connect Wallet to Contribute」をクリックしてウォレットに接続します。
「Parallel Referral Code (Optional)」に以下のコードを入力いただくと、5%のPARAトークンの追加ボーナスがもらえます。
ウォレットに接続できると、ボタンの名称が「Contribute to プロジェクト名」に変わりますので、再度クリックします。
この後、トランザクション確認画面が表示されますので、ウォレットのパスワードを入力して承認すればクラウドローンへの参加は完了です。
【方法4】クラウドローン対応の海外取引所から参加
デメリット:DOTをポルカドットのチェーンではなく取引所に預ける形になるので、取引所を信じる必要がある(詐欺取引所だった場合、持ち逃げされるリスクがある)。報酬の配布タイミングは方法2に比べて遅れる。
まずはDOTをクラウドローン対応の海外取引所(Binance、OKX、KuCoin、Gate.ioなど)に送金します。手順は方法1をご覧ください。
DOTに関しては、取引所で最低入金額等の独自の条件を設けていることがありますので、送金前に取引所のDeposit画面にて入金条件を必ず確認しましょう。条件に満たないDOTを送ってしまうと着金せずに失うことがあります。
ただ、これらの海外取引所でDOTを購入した場合は、最初の送金の手順はスキップできます。
海外取引所の場合、参加できるプロジェクトや条件などが異なるため、具体的な手順の説明は割愛させていただきます。
海外取引所からの参加の場合、polkadot{.js}ウォレットが不要なため、手間をかけたくない、あるいは暗号資産の扱いに不慣れな方には向いています。
⑤パラチェーンオークションの進捗・結果確認
無事にパラチェーンオークションのクラウドローンに参加できたら、経過を見守ります。
polkadot{.js}ウォレットでは状況が分かりづらいため、DotMarketCapかParachains.infoを確認するのが良いでしょう。
Parachains.infoにはオークションのタイムラインが表示されており、一目で状況を把握しやすいです。
パラチェーンオークションのタイムライン(出典:Parachains.info)
クラウドローンに参加したプロジェクトがオークションに勝てば晴れて報酬獲得の権利を得られます。
と同時に預けたDOTは96週間ロックされます。
もし負けてしまった場合は、当該バッチのオークション期間が終了した後に送金元のアドレスに全額返却されます。
返却されたDOTを次のクラウドローンに回すかステーキングするか諦めて売却するかを判断しましょう。
クラウドローン参加後の出口戦略
①オークション勝利後の報酬獲得
クラウドローンに参加したプロジェクトがオークションに勝利したら、後日(概ね1ヶ月以内)、報酬としてプロジェクトトークン(AcalaならACA、AstarならASTR、MoonbeamならGLMR)が配布されます。
参加方法によって自動で配布されることもあれば、手動で請求しなければならないこともありますし、どこに配布されるかもプロジェクトによって異なることがありますので、各プロジェクトのSNS(Twitter、Discord、Telegram、Medium等)を随時チェックします。
②入手トークンの使い方を決める
クラウドローンの報酬で入手したプロジェクトトークンの使い道を検討します。
主に3つあります。
- プロジェクト内のサービスに使う
- トークンを売却する
- トークンを誰かにプレゼントする
それぞれ説明します。
プロジェクト内のサービスに使う
入手したトークンを各プロジェクトのサービスにそのまま使う方法がまず考えられます。
たとえば、Acalaプロジェクト(DeFi)であれば、入手したトークンを原資に運用してさらなる利益を狙えるかもしれません。
Astarプロジェクト(dAppsマルチハブ)であれば、入手したトークンでステーキングして追加のトークンを受け取れるでしょう。
プロジェクト内のサービスを使うことで、そのプロジェクトを応援することにも繋がります。
トークンを売却する
「すぐに現金化したい!」という方は売却することになるでしょう。
トークンを取り使っている取引所に送金して、国内取引所で日本円に交換可能な暗号資産(ビットコインやイーサリアム等)に交換します。
そして、それを国内取引所に送金して日本円に交換すれば、現金化できます。
トークンを誰かにプレゼントする
日頃お世話になっている知り合いや友だちにプレゼントしてみるのはいかがでしょうか。
喜ばれると思いますし、それをきっかけにプロジェクトに興味を示してくれるかもしれません。
あるいは、SNSユーザーであれば、フォロワーを増やすためにGiveawayイベントを開催してバラまくという手もあるでしょう。
③パラチェーン解除後(96週間後)のDOT返却
DOTが返却されていることを確認する
クラウドローンに参加したプロジェクトがオークションに勝った場合、預けたDOTは約2年間(96週間)ロックされます。
ロック期間が終了するとパラチェーンが解除されて(プロジェクトのネットワークはポルカドットのネットワークから接続解除されて)、それに合わせてクラウドローン参加時のアドレスに全額返却されます。
きちんと返却されるかをチェックしましょう。
ロック終了日は公式サイトに記載されています(「Winning parachain(s) onboarded」で検索すればヒットします)。
返却されたDOTの用途を検討する
DOTが返却されたことを確認できたら、返却されたDOTの用途を検討します。
具体的には以下のいずれかになると考えられます。
- 次のクラウドローンに回す
- ステーキングする
- 売却する
ご自身の投資計画に沿って判断しましょう。
クラウドローンのリスク
ロック中のDOTの下落リスク
クラウドローンで96週間DOTを預けている間にポルカドットの価値が落ちてしまい、下落による損失額(「下落後の価格 – 購入時価格」 × 購入DOT数)が報酬額を上回ってしまうリスクがあります。
途中で解約するという概念は存在しないため、96週間はどのような値動きになっても見守るしかありません。
ポルカドットの成長を信じることができないと、下落時は精神的に苦しいかもしれません。
逆に言えば、強制的にガチホを支援してくれるとも考えられます。
暗号資産の世界では「ガチホしていれば良かった」という声は非常によく見聞きします。
2018/1の大暴落時には誰もが「ビットコインは終わった」と感じ、多くの個人投資家がビットコインを中心として暗号資産を投げ売りしました。
しかし、その後どうなったでしょうか?
ビットコインは2017/12の最高値からさらに3倍以上に更新しました。
ガチホはそれだけ難しいということです。
ポルカドットではその難しいガチホをクラウドローンを通じて手伝ってくれる上にお小遣いまでくれると考えることもできます。
とはいえ、クラウドローンについては慎重に考えて行動することが求められます。
DOTの持ち逃げリスク(方法1以外から参加した場合)
方法1以外でクラウドローンに参加した場合、信用ありきになるため、預けたDOTがきちんとポルカドットのチェーンにロックされず、預かったDOTを持ち逃げしてしまうというリスクがあります。
方法4の大手取引所から参加する場合、持ち逃げするメリットより信用を失うデメリットの方が大きいので、リスクが顕在化する確率は極めて低いと思われますが、理屈上は可能であることは念頭に入れて損はないでしょう。
方法2と方法3についても、誰でも簡単にパラチェーンオークションに参加できるわけではないので、リスクが顕在化する確率は低いと思われますが、信用できるプロジェクトかどうか十分調査する方がよいでしょう。
まとめ
ポルカドットのパラチェーンオークションやクラウドローンの説明から始まり、クラウドローンの参加手順、参加後の出口戦略までお伝えしました。
ポルカドットのブロックチェーンがローンチされたのは2020/5とまだ最近です。
2021/11に最初のパラチェーンオークションが開催され、2022/3までに11個のプロジェクトがパラチェーンとしてポルカドットに接続されます。
今後はパラチェーンが増えるだけでなく、各パラチェーンに繋がるプロジェクトも増えていくことが予想されますので、ポルカドットのエコシステムは急激に拡大していくでしょう。
それに伴って、DOTの価値も上昇する可能性があります。
ですが、その一方でpolkadot{.js}のユーザビリティの悪さ、実存残高等の注意事項、クラウドローンの手順の分かりづらさといった課題も残っています。
ポルカドットエコシステムが今後どのような道を辿るのかしっかりと見定めていきましょう。